Tyler Cowen, “Why is Heinz Ketchup still so popular in Pittsburgh?”(Marginal Revolution, April 22, 2009)
JPE(ジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミー)誌に掲載されているブロネンバーグ(Bart J. Bronnenberg)&ダール(Sanjay K. Dhar)&デューベ(Jean-Pierre Dubé)の共著論文より。
本稿では、アメリカ国内の計50の大都市で販売されている計34品の日用品のブランドを対象に、「先行者」の優位が持続することを示す証拠を提示する。それぞれのブランドの現時点の市場シェアは、発祥地に近い都市においてほど高い傾向にある。6つの業界についてはそれぞれの都市でトップブランドが販売を開始した順番がわかっていて、販売を開始した順番が早いブランドほどその都市での現時点の市場シェアが高いだけでなく消費者の評価も高い傾向にあることが見出されている。
草稿版はこちら(pdf)。具体的には、以下のような結果が見出されている。
1800年代後半ないしは1900年代初頭に販売を開始して今でも業界を引っ張っている計49のブランドに関して言うと、発祥地に近い都市での現時点での市場シェアは、全土における現時点での市場シェアよりも12パーセントポイント高い傾向にあることが見出されている。
先行者の優位というのはだいぶ長続きするようで、驚きだ。ミラー社のビールがシカゴで販売されたのは1856年に遡るが――シカゴが発祥の地というわけではないが、一番乗り――、他のどの都市においてよりもシカゴで優位な立場にあるのは今も変わらないのだ。ハインツ社のトマトケチャップがピッツバーグで販売されたのは1876年に遡るが、他のどの都市においてよりもピッツバーグでの市場シェアが今でも相変わらず高いのだ。
どういうメカニズムが働いているのだろうか? 小売店との密接な関係が長続きしているおかげなのだろうか? 地元(あるいは地元の近く)が発祥のブランドに対する愛着が育まれて、それが世代を超えて伝わるのだろうか? 発祥の地で暮らしていた住民と何らかの理由――人口構成だとか民族構成だとかのように、時が経過しても変わりにくい何らかの理由――でもともと相性がよかったのだろうか?
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