ボストン市長を4期務めたジェームズ・マイケル・カーリー(James Michael Curley)は、貧しいアイルランド系の住民を利するために無駄の多い再分配政策に着手する一方で、扇情的なレトリックを弄して(アングロサクソン系の)裕福な住民がボストン市から出ていくように仕向けた。その結果として、ボストン市の有権者の構成がカーリーにとって有利になる方向に変わったのである。ボストン市は停滞したが、カーリーは市長選で勝ち続けたのだ。
引用を続けるとしよう。
このような戦略――「富を減少させる歪んだ政策を通じて、自らの政治的な支持基盤を拡大させる戦略――を「カーリー効果」と名付けるとしよう。とはいっても、カーリーだけの専売特許というわけではない。同じような例――政治的な敵の退出を促す政策を推し進めて、選挙区を荒廃させると同時に自らの政治的な立場を強化しようと試みた例――は、他にも見出せるのだ。アメリカの他の市長だけではなく、世界中の政治家の間でも。例えば、24年間にわたってデトロイト市長を務めたコールマン・ヤング(Coleman Young)は、白人(および、白人が経営する企業)がデトロイトから出ていくように仕向けた。「ヤングが市長を務めている間に、デトロイトは、黒人が多数派のシティ(city)の一つに変貌したというにとどまらない。デトロイトは、黒人のメトロポリス、合衆国の中にある第三世界のシティ(Third World city in the United States)のはしりともなったのである。そのことを象徴する証拠は、至る所にある。ショーケース・プロジェクト、黒い拳のモニュメント、仮想外敵、熱狂的な個人崇拝」(Chafets 1990, p. 177)。 独立を果たした後のジンバブエでは、同国の大統領を務めたロバート・ムガベ(Robert Mugabe)が白人の農民たちに対して強権を発動した。ジンバブエ経済に甚大なダメージが加わるのも構わずに、白人の農民たちが国を離れる(他国に移住する)ように公然と強いたのである。
民主党の支持者の多くは損害を被るだろうか? もちろんだ。民主党を支持する有権者の境遇と、民主党の政治家の境遇を区別しなくてはいけないのだ。高速(ハイスピード)鉄道計画が実施されても、州議会の議員には高給が払われるし、議員としての特権も相変わらず享受できるのだ。選挙で敗れたり選挙区の区割りが変更されたせいであぶれたりしても、州政府で高給の閑職に就けるのだ。
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